今日から雨水。雪がとけて雨となる。
冬の名残の冷たい風が、まだまだ吹いてはいるものの、
春を告げる梅の開花情報が、ちらほら聞こえてきます。
今日は少し足を延ばして、長浜盆梅展へ行って来ました。
JR京都駅から一時間と少し。
車窓の眺めもずいぶんとのんびりしていて、
ちょっとした小旅行気分。
「遠いねー」と言いながら、
ウトウトと眠ってしまったところで、
長浜駅に到着です。
駅から少し歩いたところに、慶雲舘という迎賓館があります。
ここが盆梅展の会場。巨石を配したダイナミックな庭は、
平安神宮の神苑を作庭した七代目小川治兵衛が手掛けたもの。
巨大な灯篭や、一面苔に覆われたテーブル石、力士の像など、
建物に入る前から、すでに面白い。
盆梅展会場は、懐かしい梅の香り。
「ああ、梅って、こういう香りだった」と、
これまでの春を思い出します。
赤い絨毯が敷かれた会場には、
人の背丈ほどや、それ以上の高さのある、
立派な盆梅が並びます。巨木で、古木。
樹齢百年を超えるものも珍しくありません。
屋内とはいえ、まだ二月。
ほとんどの盆梅が、まだ固いつぼみをつけています。
その中で、ひとつだけ満開の盆梅がありました。
「不老」という名の、樹齢四百年の梅。
幹の感じは、さすがに年老いたおばあちゃんなのですが、
花のピンクの艶やかさといったらありません。
樹齢四百年とは、どんなものか。
今春、京都国立博物館で、
長谷川等伯の没後四百年を記念した展覧会がありますが、
等伯が絵師として腕をふるっていたのが桃山時代。
もしかするとこの梅は、信長・秀吉の時代から、
すでにこの世を生きていたかもしれません。
それにしても最長寿の梅が、春一番に先頭を切って、
花を咲かせるなんてカッコいい。
しかもその花は、インパクトのある濃いピンク色、
ボリュームたっぷりの八重咲きです。
なんとすごい、素敵な梅なのでしょう。
さて、盆梅展を後にして、
長浜城の展望台に上って来ました。
西にきらめく琵琶湖の眺め。
東の伊吹山には、まだしっかり雪が残っていました。
それでは。
平成二十二年二月十九日
錦・高倉屋 濱田千香