三月になりました。
店頭に飾った小さな盆梅が、
いい香りを漂わせています。
今日は宝鏡寺へ行って来ました。
歴代の皇女が住職を務め、
皇室との関係が深い尼門跡寺院。
御所から贈られたたくさんの人形があり、
また、人形供養を行っていることから、
「人形の寺」としても有名です。
今日は春の人形展のオープニングイベントとして、
本堂にて、島原太夫の舞が奉納されました。
時間に余裕を持って着いたつもりが、
本堂はすでに満員のようで、もしかしたら、
イベントが終わるまで中に入れないかもしれない。
そんな寸前のところで、入ることが出来ました。
縁側に出来た人垣の後ろから背伸びをし、
薄暗い本堂を覗くと、ちらちらと見える太夫の白い顔。
背伸びが続く間だけ、コマ切れの観賞ではありましたが、
初めての太夫の舞、観られて良かった。
宝鏡寺には円山応挙の描いた杉戸絵があります。
じゃれあって遊ぶ、コロコロの子犬たち。
中学の時、友達の飼っていた雑種が、
五匹の子犬を産んだ。子犬たちは丁度、
この絵の犬のようにコロコロしていました。
最近は、雑種をほとんど見なくなりました。
昔は柴犬か雑種がほとんどだったのですが。
さて、宝鏡寺を出て、相国寺の承天閣美術館へ。
若冲の鶏の絵は、いつ観ても楽しい。
「群鶏蔬菜図押絵貼屏風」は、
いろんな角度から見た、鶏の姿が描かれている。
アクロバティックにも思えるポーズや、
ちょっとびっくりしたような、ユーモラスな表情が面白い。
左右に梅、真ん中に鶏を描いた三幅対の「中鶏左右梅図」は、
ちょっと考えさせられる。高い屋根の上、
強い風に煽られながらも、一本足で立つ一羽の鶏。
不安定で危なっかしい状況を、「困ったな」というより、
どちらかといえば「大丈夫だよ」と言っている気がします。
承天閣美術館から御所は目と鼻の先。
梅がそろそろかと立ち寄りました。
御所には、南から梅林、桃林、桜林のエリアがあり、
四月中頃まで、順を追って楽しめます。
今、御所の梅は五分咲き。
あと数日もすれば満開になるでしょう。
それでは。
平成二十二年三月一日
錦・高倉屋 濱田千香