錦・高倉屋の店頭には、走りの千枚漬が出ています。
冬本番のものよりも小ぶりで、肌理も粗い。
ちょっとフライングしてしまった感じの、初秋の味わい。
これはこれで、なかなかおいしい。
今日は三連休の中日で、快晴のお天気。
混雑覚悟で大原の勝林院へ出掛けました。
大原へは四条河原町から京都バスで五十分程。
タイミング良く臨時運行のバスに乗れました。
紅葉シーズンともなると、
このバスは満員のすし詰め状態になるのですが、
今はまだ早いようで、ゆったり座って大原まで行けました。
勝林院は三千院門跡の北に位置する天台宗のお寺。
経典に節をつけて歌う仏教音楽、
声明とゆかりの深いお寺として知られています。
京都バスを大原で降り、三千院への参道の坂道を歩きます。
漬け物屋さんや土産物屋さん、茶店が軒を連ねる賑やかな参道は、
いかにも観光地といった風情で、歩くだけで楽しい。
途中、コスモス畑の案内看板を見つけて脇道へ。
大原のコスモスは今が見頃。
晴れ渡る青空の下、白、ピンク、濃いピンクと、
三色の可愛らしい花が風に揺れています。
草の陰からコオロギが飛び出しました。よく見るとバッタもいます。
畑の地面を間近で見たのは、いつぶりでしょうか。
坂道に戻ってしばらく歩くと、まもなく三千院への曲がり角。
前に来た時、この辺りで手作りアクセサリーを売っているお店があり、
そこでキジトラの看板猫を見たのですが、今日もいました。
前と同じように、敷いてもらったマットの上で寝ています。
じっと目を閉じて、人の往来も大して気にならない様子。
いくつぐらいなのでしょう。賢い子です。
さて、坂道を曲がって砂利道の参道へ。
三千院の門を通り過ぎて、少し歩くと前方に勝林院が見えて来ます。
視界を邪魔するものが何もない、すっきりと開けた参道の先に、
どっしり構える立派な木造建築。
私は、勝林院のこの堂々とした佇まいがたまらなく好きです。
本堂には、ご本尊の大きな阿弥陀如来と、
脇侍の不動明王、毘沙門天。
阿弥陀如来の手からは五色の綱が下がっていて、
参拝客はこれに触れて阿弥陀如来との縁を結びます。
お参りした後は、見晴らしのいい縁側で、ただボーッとします。
ここを通り抜けていく風は、とても大らか。
太陽の光が燦々と降り注いで、猫じゃなくても、
つい眠ってしまいそうになります。
ここでお昼寝できたら、どんなに気持ちいいでしょう。
勝林院では、本堂に設置されたボタンを押せば、いつでも
録音された声明を聴くことができます。
もし、ライブで声明を聴きたいなら、
来月の二十六日の六時半から、
秋のライトアップに合わせた声明法要が行われます。
生で声明を聴ける機会はめったにないので、おすすめです。
紅葉狩りのプランのひとつにいかがですか。
それでは。
平成二十二年十月十日
錦・高倉屋 濱田千香